Her Bike
~彼女のバイク~
美ヶ原高原を目指して諏訪からのぼってビーナスラインを走っていた。
数えきれないカーブを曲がって上がってゆくごとに
樹木も下界のそれとは違って白樺が増えてきてる。
鼓膜も気圧の関係で押されてるように感じて
高所に上がってくのがわかる。
愛車DUCATIの振動はいつものように股間から
体を伝わって感じるのに音が小さく感じてる。
それでもそんな連続するカーブを走るのが…なんとも楽しい。
平日の早い時間。
ビーナスラインは僕以外に誰も走っていない。
なんだか美ヶ原を貸切で独占してるようで
そんなにスピードも上げずにゆっくり風景を楽しみながら
アクセルをあげ走ってゆく。
しばらくすると
DUCATIのエンジン音以外に別な野太いエンジン音が絡んできた。
バックミラーを見たら
どうやら音といいハンドル周りといいハーレーだと思った。
ある意味同じ横置きVツインということで
ハーレーは嫌いじゃない。
お先にどうぞ!な感じでスピードダウンして
ハザードつけつつ…左に寄った。
ハーレーは左手を上げながら僕を追い抜いて行った。
ヘルメットから長い髪が靡いていた。
あ……女性か。
女性がバイクに乗ってる姿はかっこいいしSexyに感じる。
ハーレーは僕を追い抜いて行った割には
さほどスピードを上げることなく
車間距離はそのままで
なんだか彼女と一緒に走ってるような感じだった。
ハーレーの野太いエンジン音が波のように揺れて僕に届く。
走る後ろ姿のレザースーツも綺麗だった。
やがて上りきって視界が開けると牧場とかも見えて
美ヶ原高原エリアに入ったことを感じた。
ビーナスラインの最高標高地点を過ぎると
今度は緩やかな下り坂になって左に大きくカーブしてゆく。
あれからずっと僕は景色も見つつも
彼女の後ろ姿に見惚れて追いかけて走ってた気がする。
程なくすると僕の目的でもある道の駅の建物と
左の斜面には美ヶ原高原美術館が見えた。
彼女は一気にアクセルを緩めてアーチをくぐり
右の駐車場へと入っていった。
僕はあえて少し遅れ気味に入って彼女が停めた場所よりも
手前にバイクを停めた。
思った以上にバイクが数台停まってて驚いた。
駐車場の目の前は圧倒的な雲海が広がっていた。
そんなパノラマの光景に見惚れていたら
ハーレーに彼女の姿はなかった。
他のライダーが彼女のハーレーを見て談笑しているのが見えた。
僕は……
ヘルメットを脱いでロックにかけ道の駅の建物に向かって歩いた。

道の駅の中に入ってコーヒーを飲んでから
久しぶりに美ヶ原高原美術館へ行ってみようかと思った。
連絡通路から広大な緑の斜面に広がる美ヶ原高原美術館を散策して観て回った。
もちろん個性豊かな作品群も見ていて楽しいんだけれど
美ヶ原高原美術館も含めて見える360度風景全てが
刻一刻と変わっていって日差しが出たり雲に包まれたりと
そんな目まぐるしく変化してゆく様にも見惚れる。
ゆっくり美術館を堪能して道の駅に戻ってきて
そして駐車場へと向かった。
自分のバイクも見えたけれど
え?……
隣にハーレーが停まっていた。
彼女の?まさか…彼女が停めたあたりにハーレーはなかった。
そして僕のヘルメットの中には…缶コーヒーが入っていた。
すると…さらに先の砂利の駐車場の方から
ヘルメットを持った髪の長いハーフな美人が歩いてきた。
「DUCATI…いいバイクですね」
逆光の微笑みさえもめちゃくちゃ美しかった。
「え?…ああ…ええ^^」
あまりにも綺麗だから緊張してしまった。
「ハーレーも…いいバイクですね」
「ええ」
「あの…これ…」
ってヘルメットから缶コーヒーを取り出して僕はいった。
「ああ…さっきのぼって来る時道を譲ってくれたから」
「あ~あ…でも…走り去るかと思ったんですけど^^」
「DUCATI乗ってたんです」
「え?」
「あ…いや…私がじゃなくって昔の彼が^^」
「あ~あ…はいはい」
「私がこのハーレーで彼がDUCATIでよくツーリング行ったんです」
「なるほど…素敵ですね」
それからは話が弾んでしまって
道の駅に戻ってレストランルームでゆったりしながら話したんだ。
彼女の昔の彼は……
彼女が乗りたいと言ってもDUCATIにはのせてくれなかった。
その代わりに彼も彼女のハーレーには乗らなかった。
そんなことで…いつの間にか別れてしまったらしい。
「別れの原因がバイクって…笑えるでしょ?」って彼女は微笑む。
だから…DUCATIを見るとそんな少し苦い記憶を思い出すけれど
でも…バイクとしては魅力的だから一度は乗ってみたいとも言っていた。
DUCATIに跨ってハーレーとは違う太いピストンのエンジン音と振動を
股間に感じたいとも熱く語っていた。
熱く語るからその時は僕も真剣に聞いててスルーしそうになったけれど
よくよく考えたら
〝太いピストンのエンジン音と振動を股間に感じたい〟って
なんとも艶っぽい言葉だと思ったら急に…頬が染まりそうになった。
しかも建物を出て駐車場に向かう彼女の
レザースーツがカラダにぴっちりフィットしてて
女の美しいボディラインがまるでヌードのように見えて
さらに目のやりどころに困ってしまった。
「え?」
だから…彼女に話しかけられてもわからなかったんだ。
「東京ですか?」って彼女がリフレインで言った。
「ギリギリ東京です23区じゃないから…貴女は?」
「私はしっかり23区なので東京です」
「あははは…な~るほど」
「帰りはどのコースから帰るんですか?」
「明日も休みなんですがバイク旅では泊ったことがなくて毎回日帰りだから
来た道を道を戻って諏訪湖に出て中央高速で帰ろうかと。貴女は?」
「私は…霧ケ峰高原を経由して白樺湖のホテルに泊って
高原の風景を楽しみながら明日ゆっくり帰ろうと思ってます。」
「おおお……霧ケ峰高原からの白樺湖いいですね~行ったことないけど」
そんな話をしていたら
目の前の雲海が一気に晴れて下界の風景が見えてきた。
「おおおお…………」
二人ともそんな風景の様変わりに感動していた。
そうこうしてると…彼女が名残惜しそうにヘルメットを被ろうとした。
「白樺湖まで…一緒に走りませんか?」
「え?」
彼女の手が止まった。
「もう少し貴女の後ろ姿を見ながら走ってみたくって」
一瞬驚いてたけど…すぐに微笑んで
「ぜひ!でも…いいんですか?ルート的には?」
「白樺湖経由で下って諏訪ICから乗ればいいし
遅くなっても明日休みだから気にしなくって大丈夫です!」
「じゃぁ~!ご一緒に…あ…ちょっと待って」と言って
ポケットからスマホを出して背中を向けて何やら話をしてた。

そして会話を終えるとハーレーに跨ろうとした彼女に言った。
「僕のDUCATI…白樺湖まで乗ってみます?」
「え?!…いいんですか?」
「僕もハーレー乗ってみたいですから…貴女が」
「まりな」
「え?」
「私の名前。茉莉奈と書くの。」
「まりな…さん…いい名前。僕は慶に次でケイジです」
「ケイジ…さん…素敵です」
軽く互いのバイクのインプレを伝えあって
「ゆっくり行きましょう」
彼女はヘルメットをかぶりDUCATIのエンジンをかけた。
独特なハーレーとは異なるエンジンがする。
ヘルメット越しに嬉々とした彼女の目が煌めいてた。
僕もハーレーのVツインのエンジンをかけた。
不規則なハーレーのVツインの音がした。
なんとも言えない振動が股間に伝わってくる。
彼女の股間にもDUCATIの振動が伝わってるんだろうな。
彼女が先に走り出した。
扉峠を経由してビーナスラインを下ってゆく感じ。
彼女は僕のバイクに乗ってても
後ろ姿が綺麗だった。
彼女は僕のバイクに跨り、僕は彼女のバイクに跨って
同じ方向へ向かって走ってゆく…なんとも心地よい感覚だ。
ずっと前からツーリングパートナーな感覚になってる。
霧ケ峰高原にエリアに入ると
遮るものがない感じで視界が開けて気持ちがいい!
彼女も前を走りながら左手でGoodマークを作り
僕も左手で返す。
霧ヶ峰から車山高原緩やかな坂道を下ってゆくと右奥に白樺湖が見えてきた。
気のせいか…彼女の乗るバイクのスピードが落ちてきた気がする。
やがて白樺湖が至近に見えてきて
彼女が泊まると言っていた大きなホテルが見えてきた。
ホテルの敷地内に入る頃は陽射しもすっかり傾いで
いつの間にか夕暮れな感じになってきていた。
彼女の後をついていったらホテルの駐車場のバイク置き場になった。
そこに2台並べてヘルメットを脱いだ。
「ありがとうケイジ…さん!やっぱDUCATI素敵だった」
「太いピストンのエンジン音と振動を股間に感じた?」
「え?…あはは…うん!やっぱDUCATI感じちゃった!」
「よかった!こちらこそ!楽しかったし君の後ろ姿素敵だったよ!」
僕は自分のDUCATIに跨った。
シートには彼女のお尻の温もりが残ってる。
ヘルメットを被ろうとした。
「ケイジ!」
「え?」
彼女が近づいてきて言った。
「DUCATIに乗れたけど…」
「けど?」
「ケイジにも…乗りたい」
「え?」
「ケイジにも乗って股間に貴方のピストンを感じたい」
一瞬
何言ってるのかわからなかったが……
「え?…え?…え?」
美しい彼女は少女のように頬染めている。
普通だったらイヤらしい女の言葉にしか感じないはずなのに
全然そんなイヤらしさは感じなかった。
僕は…ヘルメットをバックミラーにかけてバイクを降り
戸惑いながらもゆっくり歩き彼女を抱きしめた。
そして言った
「僕も…茉莉奈に…乗りたい」
そして……誰もいない駐車場で長い長いキッスをした。
嘘だろう?こんな美女が……夢のような気分だ。
唇を離して彼女の耳元に囁いだ。
「ああ…茉莉奈の中に…僕のピストンを入れたい……」
彼女は僕を見つめて…コクリと頷きながら唇を重ねてきた。

「いつ…僕に乗りたいって思ったの?」
「ビーナスラインでDUCATIにまたがる慶次を見た時」
「あなたは?」
「ビーナスラインで僕を追い抜いて前を走り始めた時…君の後ろ姿を見て」
「そんな…気がしたわ」
「え?…嘘だろ?」
互いに笑い合って…そして再び唇を重ねた。
「あっ!」そうだった!
「どうしたの?」
「僕…宿取ってないよ」
「大丈夫……二人が泊まれる部屋にしたから」
え?…あっ!そうか!
道の駅の駐車場で彼女が電話してたのはホテルのことだったのか。
そして……僕らはヘルメットを持ってチェックインして
エレベーターでこれから明日まで愛し合う筈の部屋へと上がっていったんだ。
それから……部屋に入ると…もどかしく
忙しなく激しく唇を吸い合いながら服を脱がし脱がせあった。
裸になると彼女はレザースーツを脱いでも綺麗な女のカラダだった。
長い愛撫をしあいながらベッドを転げ回り
互いのパーツを舐めしゃぶりあった。
「ケイジに…乗りたい」
僕のピストンをしゃぶってた彼女唇には
唾液のラインがピストンと繋がっていて淫らだった。
「うん…」
彼女は僕を寝かせたまま
まるでバイクに跨がるように僕に跨って
僕の固く大きくなったピストンを掴むと
彼女は自分の淫らなに濡れてるワレメを広げて
愛のクランクケースに飲み込んで行ったんだ。
根元まで…僕のを飲み込むと
あああ……って声をあげて軽く仰け反った。
そして彼女は腰を動かし始めたんだ。
あああ…彼女の滑ったクランクケースの中は堪らない。
「Vツインじゃないけどね」って言ったら
「ビッグシングルだから…素敵よ」
僕も時折下から突き上げつつ
彼女の綺麗な揺れる乳房を揉んだ。
そして…高原の静寂な部屋に
僕と彼女の淫らで素敵なエンジンが鳴りっぱなしだったんだ。
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Dream sex essay“Lewd wind”manager-K*241209*